専門家が徹底解説!ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金)とは⁉

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掲載日:2024年5月13日

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金)

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業は一般的に「ものづくり補助金」で浸透している代表的な補助金制度のひとつです。
中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。

 

対象エリア

全国

 

補助の象者

日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業が対象です。
ただし、「グローバル枠」のうち海外への直接投資に関する事業を行う場合においては日本国内のほか海外にも事業実施場所を有することが必要です。
対象となる法人、個人事業主には資本金・常勤従業員数の上限があります。
中小企業・小規模事業者」を対象とする補助金であるため、事業規模に一定の制限があるのです。下記以外に組合等も対象となります。

 

【中小企業者(組合関連以外】

業種

資本金(上限)

常勤従業員数(上限)

製造、建設、運送、旅行業

3億円

300人

卸売業

1億円

100人

サービス業

5,000万円

100人

小売業

5,000万円

50人

ゴム製品製造業

3億円

900人

ソフトウェア業及び情報サービス業

3億円

300人

旅館業

5,000万円

200人

その他

3億円

300人

 

【小規模企業者・小規模事業者】

業種

常勤従業員数(上限)

製造業その他

20人以下の会社及び個人事業主

商業・サービス業

5人以下の会社及び個人事業主

サービス業のうち宿泊業・娯楽業

20人以下の会社及び個人事業主

 

補助の対象外となるケース

いわゆるみなし大企業、課税所得が大きい企業、過去にものづくり補助金の交付決定を一定数以上受けた事業者等はものづくり補助金の対象外となります。
本補助金の趣旨が「中小企業・小規模事業者等の生産性向上」であるためです。

以下は代表的な対象外事由です。
1.過去3年間に2回以上ものづくり補助金の交付決定を受けた事業者
2.発行済株式の一定以上を大企業が所有している、役員総数の過半数が大企業の役員を兼務している事業者
3.直近過去3年の各年又は課税所得の平均額が15億円を超える事業者
4.過去又は現在の国が助成する制度との重複を含む事業を申請する事業者

 

1.給与支給総額を増加させる

給与支給総額」とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(給与、賃金、賞与及び役員報酬等を含み、福祉厚生費、法定福利費や退職金は除く)を言います。
事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させることが必要です。 (被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年平均成長率 1% 以上増加させること。被用者保険の任意適用とは、従業員規模 51 名~100 名の企業が短時間労働者を厚生年金に加入させることを指します。)


2.最低賃金の引き上げを行う。

事業計画期間において、事業場内の最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、「毎年」、地域別最低賃金+30円以上の水準とすることが求められます。

 

3.付加価値額を増加させる

付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を合計したものをいいます。事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年平均成長率を3%以上増加させることが必要です。

尚、申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を策定していることが必要ですので、補助金交付後にそれらを策定していないことが発覚した場合は、補助金額を返還しなければなりません。単なる計画を策定するだけではなく、それを実行することが必須なのです。

 

補助金を返還しなければならない場合

1.給与支給総額の増加目標の未達

補助事業を完了した事業年度の翌年度以降、事業計画終了時点において、給与支給総額の年平均成長率1.5%以上という要件たる増加目標が達成できていない場合は、導入した設備等の簿価又は時価のいずれか低い方の額のうち補助金額に対応する分(残存簿価等×補助金額/実際の購入金額)の返還を求められます。

 

2.事業場内最低賃金の増加目標の未達

補助事業を完了した事業年度の翌年度以降、事業計画期間中の毎年3月末時点において、事業場内最低賃金の増加目標が達成できていない場合も、補助金額を事業計画年数で除した額の返還を求められます。
繰り返しますが、単なる計画を策定するだけではなく、それを実行することが必須なのです。

 

補助事業の実施場所

ものづくり補助金を申請する場合、大前提として補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有していることが必須となります。
補助事業の実施場所」とは、補助対象経費となる機械装置等を設置する場所、又は格納、保管等により主として管理を行う場所を指します。
この点、補助金の応募申請時点で建設中の場合や、土地(場所)のみを確保して建設予定である場合等は補助金の「対象外となります。
補助事業の実施場所が自社の所有地でない場合は、交付申請までに不動産登記事項証明書上所有権が移転していることが確認できることが必要であり、所有でない場合は賃貸借契約書等により使用権が明確であることが必要です。

 

補助対象経費

ものづくり補助金の対象となる経費をまとめておきます。
1.機械装置・システム構築費
2.技術導入費
3.専門家経費
4.運搬費
5.クラウドサービス利用費
6.原材料費
7.外注費
8.知的財産権等関連経費
9.海外旅費
10.通訳・翻訳費
11.広告宣伝・販売促進費

良くある質問が「パソコンは含まれるのか?」「土地、建物、自動車は含まれるのか?」というご質問ですが、ものづくり補助金においてパソコンは汎用性があり目的外使用になり得るとして原則不可なのですが、「補助事業のみに使用することが明らか」であれば可とされています(ただその証明はかなり難しいでしょう)。
不動産の購入も不可ですが、自動車に関しては事業所や作業所内のみで走行し、公道を自走することができないものや税法上の車両及び運搬具に該当しないものは可です。

 

ものづくり補助金の申請類型

ものづくり補助金においてはいくつかの類型が定められており、それぞれ異なった目的であることからおのずと補助額や要件も異なっています。
基本的な違いをご説明します。

 

1.省力化(オーダーメイド)枠

人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等が対象となります。
デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)のことをいいます。
そのためデジタル技術等を活用せず、単に機械装置等を導入する事業については、本事業の対象とはなりません。

補助金額

従業員5人以下  100万円~750万円
従業員6~20人 100万円~1,500万円
従業員21~50人 100万円~3,000万円
従業員51~99人 100万円~5,000万円
100人以上 100万円~8,000万円

補助率

 

補助額1,500万円まで

1,500万円を超える部分

中小企業

1/2

1/3

小規模企業者・小規模事業者

2/3

1/3

基本要件以外の追加要件

以下の全てに該当すること
①3~5年の事業計画期間内に、補助事業において設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる事業計画を策定すること
②3~5年の事業計画期間内に、投資回収可能な事業計画を策定すること
③外部SIerを活用する場合、3~5年の事業計画期間内における保守・メンテナンス契約を中小企業等とSIer間で締結することとし、SIerは必要な保守・メンテナンス体制を整備すること
④本事業に係る資金について金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出すること

 

2.製品・サービス高付加価値化枠

①通常類型
革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等を対象とします。
一般的なものづくり補助金の申請類型です。


②成長分野進出類型(DX・GX)

今後成長が見込まれる分野(DX・GX)に資する革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等を対象とします。
革新的な製品・サービス開発とは、顧客に新たな価値を提供することを目的に、導入した設備・システムを用いて自社の技術力等を活かして製品・サービスを開発することをいいます。単に設備・システムを導入するにとどまり、製品・サービスの開発を伴わないものは該当しません。また、業種ごとに同業の中小企業(地域性の高いものについては同一地域における同業他社)において既に相当程度普及している製品・サービスの開発も該当しません。

補助金額

通常類型
従業員数5人以下  100万円~750万円
6~20人      100万円~1,000万円
21人以上      100万円~1,250万円
成長分野進出類型(DX・GX)
従業員数5人以下  100万円~1,000万円
6~20人       100万円~1,500万円
21人以上      100万円~2,500万円

補助率

 

通常類型

成長分野進出類型

中小企業

1/2

2/3

小規模企業者・小規模事業者

2/3

2/3

基本要件以外の追加要件

以下の全てに該当すること
通常類型・成長分野進出類型(DX・GX)共通事項
①3~5年の事業計画期間内に、新製品・サービスの売上高の合計額が、企業全体の売上高の 10%以上となる事業計画を策定すること
②本事業に係る資金について金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出すること
成長分野進出類型(DX・GX)
③DX:DXに資する革新的な製品・サービスの開発であること
グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する革新的な製品・サービスの開発であること

 

3.グローバル枠

海外事業を実施し、国内の生産性を高める取組みに必要な設備・システム投資等を支援します。
海外事業とは、①海外への直接投資に関する事業海外市場開拓(輸出)に関する事業、③インバウンド対応に関する事業海外企業との共同で行う事業をいいます。
グローバル枠において、新商品・サービスの開発改良、ブランディングや、新規販路開拓等の取組みを目的とする 事業であり、事前にマーケティング調査(実現可能性調査)を実施し、その結果に基づく開発改良、ブランディング等を行うことが基本要件となります。

補助金額

100万円~3,000万円

補助率

中小企業  1/2
小規模企業者・小規模事業者 2/3

基本要件以外の追加要件

①本事業に係る資金について金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出すること

②以下のいずれかに該当すること
A海外への直接投資に関する事業であって、以下の全てを満たすこと。

1.国内に所在する本社を補助事業者とし、補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補助対象経費となること、又は海外子会社(発行済株式の総数の半数以上又は出資価格の総額の2分の1以上を補助事業者が所有している、国外に所在する会社)の事業活動に対する外注費(本事業の補助対象経費の範囲に限る。一般管理費は含まない。事業実施に不可欠な開発・試作にかかる業務等を想定。)若しくは貸与する機械装置・システム構築費(本事業の補助対象経費の範囲に限る。)に充てられること。
2.国内事業所においても、海外事業と一体的な機械装置等(単価50万円(税抜き)以上)を取得(設備投資)すること。
3.応募申請時に、海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料を提出すること。
4.実績報告時に、海外子会社等との委託(貸与)契約書とその事業完了報告書を追加提出すること。

② 海外市場開拓(輸出)に関する事業であって、以下の全てを満たすこと。
1.国内に補助事業実施場所を有し、製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。
2.応募申請時に、事前のマーケティング調査に基づく、想定顧客が具体的に分かる海外市場調査報告書を提出すること。
3.実績報告時に、想定顧客による試作品等の性能評価報告書を提出すること。

③ インバウンド対応に関する事業であって、以下の全てを満たすこと。
1.国内に補助事業実施場所を有し、製品・サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。
2.応募申請時に、想定顧客が具体的に分かるインバウンド市場調査報告書を提出すること。
3.実績報告時に、プロトタイプの仮説検証※の報告書を提出すること。

④ 海外企業との共同で行う事業であって、以下の全てを満たすこと。1.国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等があり、その成果物の権利の全部又は一部が補助事業者に帰属すること(外国法人の経費は、補助対象外)
2.応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)を提出すること。
3.実績報告時に、当該契約の進捗が分かる実績報告書を提出すること。

③海外事業に関する実現可能性調査※を実施していること。
④社内に海外事業の専門人材を有すること又は海外事業に関する外部専門家と連携すること。

 

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