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東北地域企業の「衰退」と「共創」の必要性

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掲載日:2026年4月24日

はじめに

よりそう東北コネクトは、「共創」をテーマに活動しています。その背景には、日本全体、そして特に東北地域で進行する深刻な人口減少と地域経済の縮小という構造的課題があります。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、東北地域の人口は2020年頃の約918万人から、2030年には約860万人規模まで減少すると見込まれており、多くの地域で市場規模の縮小や労働力不足が現実のものとなりつつあります。

こうした状況は、決して一部の業種や地域に限った問題ではありません。多くの地域企業において、人手不足の長期化、新規顧客の獲得難、取引先の減少といった課題が同時に進行しています。単独での事業展開だけでは、従来の延長線上にある成長や収益確保が難しくなっているのが実情ではないでしょうか。

だからこそ、複数の企業や組織がそれぞれの強みや資源を持ち寄り、新たな価値を生み出す「共創」が、これからの経営戦略において重要な位置を占めるようになっています。共創は、個々の企業の競争力強化だけでなく、地域全体の持続的な発展を支える基盤にもなり得ます。

本稿では、最新の公的データや調査結果を踏まえながら、東北地域企業が直面する課題を整理し、共創がもたらす経営的意義と、実践に向けた具体的な視点を整理します。

 

1.東北地域の現状と課題

1-1. 人口・市場縮小のインパクト
国立社会保障・人口問題研究所による「日本の地域別将来推計人口(令和5年〈2023年〉推計)」では、東北地方は今後も人口減少が続き、2030年までに数十万人規模の減少が見込まれています。
人口減少は、単に消費者数が減るという問題にとどまりません。労働力人口の減少、後継者不足、地域内投資の停滞など、経済活動全体に波及的な影響を及ぼします。
特に、地場市場への依存度が高い中小企業ほど影響は大きく、売上の伸び悩みや利益率の低下、設備投資の抑制といった形で顕在化しています。こうした環境下では、既存事業の効率化のみで乗り切ることには限界があります。

  

1-2. 中小企業の経営課題
経済産業省「中小企業白書2025年版」によると、地方圏の中小企業では、「人材の確保・定着」が引き続き最重要の経営課題として位置付けられており、約7割の企業が人手不足を感じている状況にあります。
特に、構造的な人口減少や労働市場の逼迫を背景に、必要なスキルや経験を持つ人材を十分に確保できないことが、事業運営や成長戦略の実行を妨げています。
また白書では、単なる人員不足に加え、経営者の「経営力」や組織的なノウハウの不足が、新規取引先の開拓や付加価値創出を難しくしている点も指摘されています。

人的・知的資源が限られる中小企業にとって、あらゆる機能を自社内だけで賄うには限界があります。そのため、外部の企業や組織と連携し、不足するリソースを補完する共創の重要性が高まっています。

  

2.共創がもたらす経営的効果

2-1. 新規市場参入と売上拡大の促進
科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が公表した「全国イノベーション調査20242025年公表)」によれば、他企業や大学などの外部組織と連携してイノベーション活動を行う企業は、成果を創出しやすい傾向が確認されています。
共創は、単なる負担分担ではなく、異なる視点や技術、販路を組み合わせることで、単独では到達できなかった市場への参入や新たな顧客層の獲得を可能にします。地域企業においても、複数の強みを掛け合わせることで、域内外へ事業を広げる機会が生まれます。

  

2-2. コスト効率化
共創によって、資材調達や業務プロセスの共同化、ノウハウの共有が進むことで、間接コストの削減や業務効率の向上が期待できます。
実際に、経団連が整理している共創事例では、共同調達や標準化を通じて経営の安定性を高めた事例も報告されています。
これにより、価格競争力の向上だけでなく、将来投資に回せる余力を確保でき、長期的な経営の持続性が高まります。

 

2-3. イノベーションとリスク分散
新製品・新サービスの開発や新市場への挑戦には、一定のリスクが伴います。
共創によって複数の企業が関与することで、金銭的・人的リスクを分散でき、挑戦に踏み出す心理的ハードルを下げる効果があります。
また、異なる業種や分野の知見が交わることで、従来の延長線上では生まれにくい発想やイノベーションが促進される点も、共創の重要な効果です。

   

3.東北地域における共創推進の課題

  • 人的ネットワークの限定性
    異業種交流や外部ネットワークに「ほとんど参加していない」と回答した中小企業は約6割に上り、経営者の人的ネットワークが限定的であることが、中小企業白書2025年版で示されています。
    外部との接点が少ない企業ほど、新規事業や共創の検討が進みにくく、「まず出会う」「関係を築く」段階で停滞しやすい傾向があります。
      
  • IT・デジタル環境の地域間格差
    DXに「未着手」または「検討段階」にある中小企業は約4とされており、その主因として
     ・DX推進人材がいない
     ・具体的な進め方が分からない
    といった実務面の課題が挙げられています。
    この差が、共創プロジェクトにおける情報共有や業務連携のスピード、成果の質にばらつきを生んでいます。東北の一部地域ではブロードバンド普及率が全国平均を10ポイント以上下回り(※6)、オンラインでの協業や情報連携の障壁となっています。
      
  • 経営資源の制約
    約7割の中諸企業が人手不足を実感しており、既存業務の維持で精いっぱいな状況が続いています。
    さらに、中小企業基盤整備機構の調査では、新たな取り組みが進まない理由として
     ・コスト不足:約6割

     ・ノウハウ不足:約5割
     ・情報不足:約6割
    が挙げられており、人材・時間・予算の制約が新規事業や共創の最大の障壁となっています。
      
  • 異なる企業文化・価値観
    中小企業では、意思決定が経営者に集中しているケースが多く、連携相手との調整や合意形成を担うファシリテーション機能が不足しがちです。
    その結果、意思決定スピードや評価軸の違いが顕在化した段階で、共創が停滞するケースも少なくありません。

 

これらの課題は、共創の必要性を否定するものではなく、「単独での共創推進が難しい構造」にあることを示しています。

 

4.経営層が押さえるべき共創成功のポイント

4-1. 明確なビジョンと経営戦略への統合
全社を巻き込む明確な共創ビジョンの設定と、経営戦略への一体化が不可欠です。経営層が主導的に方向性を示すことで、社内外の連携が円滑になります。

 

4-2. 小規模なプロジェクトから段階的に展開
大規模共創を目指す前に、小規模かつ明確な目標を持ったパイロットプロジェクトからスタートし、成果を社内に示すことで理解と協力を得やすくなります。

 

4-3. IT活用の推進と人材育成
ITツールやDX活用は多拠点協業の鍵であり、それを操作・推進できる人材育成も急務です。定期的な研修や外部専門家との連携が有効です。

 

4-4. 外部支援の戦略的利用
地方自治体や経済団体の補助金、人材派遣サービス、産学官連携プログラムなどを積極的に利用し、多様なリソースを活用しましょう。

  

5.具体的取組み例

  • 経営層の直接参加による異業種交流の強化
     東北経済産業局や地元商工会議所、産学官連携プラットフォーム、地域企業などが主催する異業種交流会や共創促進イベントに、経営者自身が継続的に参加し人的ネットワークを広げる。
     
  • 既存部署の中で「共創担当者」を任命し、逐次報告・調整を実施
     新たに専任担当者を設置しにくい場合は、営業部や企画部など既存部署の中から共創推進役を任命し、月次の経営会議で進捗報告やパートナー企業との調整状況を共有し全社的な連携を促進。具体例として、営業リーダーが兼務してレポート作成や調整を行う事例あり。
      
  • 補助金を活用した共同事業立ち上げ
    地方自治体や中小企業庁などが提供する各種補助金や助成金を活用して、複数企業が協働で新商品開発やサービス創出、業務効率化に取り組む。

   

おわりに

東北地域の人口減少や資源制約という厳しい環境下で、地域企業が未来にわたり競争力を維持・強化するには、「共創」が経営の根幹となるべき取り組みです。複数企業が協力して新しい価値を生み出し、市場の拡大やコスト競争力の向上を目指すことは、企業と地域双方にとっての生存戦略となります。

「よりそう東北コネクト」は、共創を生み出すプラットフォームとして、地域内にとどまらず域外の企業も巻き込みながら、1社では解決できない課題を仲間とともに解決していくことを目指しています。

経営層の皆様には、ビジョン策定と全社体制の構築、IT環境の整備、外部資源の積極的な活用を進め、共創の成功サイクルを確立していただきたいと考えます。

詳細や最新の共創支援情報については、ぜひ「よりそう東北コネクト」の活動内容をご覧ください。
 よりそう東北コネクトとは?

 

■参考資料

  • 国立社会保障・人口問題研究所
    「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」
  • 経済産業省・中小企業庁
    「中小企業白書2025年版」
  • 科学技術・学術政策研究所(NISTEP
    「全国イノベーション調査20242025年公表)」
  • 一般社団法人 日本経済団体連合会
    「地域協創事例集(2024年更新版)」

 

 

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