『CONNECT+』Vol.2:地域企業の突破口

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掲載日:2024年3月25日

地域企業の突破口
~共創からはじまるInnovation~

「共創」は企業にどんな変革をもたらすのでしょうか。

地域企業が成長し続けるためには、異なる企業や産業の枠を越えて「共創」し、新しい価値を創出することが求められます。

「地域企業の突破口」では、東北の企業の先端共創事例を特集していきます。

 

公園遊具の使用状況データを蓄積・活用へ
「CASE02 ミヤックス×アシックス 共創で実証実験」

データ活用でコスト削減

宮城県内を中心に遊具の設計・製造・販売などを手がける株式会社ミヤックスは、スポーツ用品大手の株式会社アシックスと連携し、自社で管理する公園の遊具に設置した約8グラムの小型センサーから動作を記録する実証実験に取り組んでいる。データを分析することで、遊具ごとの使用頻度や使用時間、おおよその来園者数を割り出す。

公園の遊具は、国土交通省の指針に基づき、年1回以上の定期点検が義務づけられている。有資格者が目視や触診により異常の有無を確認するため多くの時間を要する上、来園者数や使用頻度などの違いによって消耗度合いは異なるため、年1回の点検前に故障してしまう可能性があった。

実験では、遊具の種類に関わらず使用頻度や時間を記録・取得できることや、同じ公園でも遊具によって利用率は大きく異なることなどがわかった。結果をもとに消耗度合いや交換時期を管理者に知らせるアプリケーションの開発を進める予定で、ミヤックス、アシックスと他2社による連盟で特許を出願している。

 

 

共創の質を高めるには

今回の実証実験は、ミヤックスからアシックスに声をかけて実現した。ミヤックス社内にはデジタル事業部があり、デジタル人材の育成やデータ活用を扱ってきた。エンジニア集団ではないが、データをいかに蓄積し、どう使うかを考えるのは得意分野だ。

遊具からどんなデータを取得したいかの目的が明確にあり、それを実現するのに最適なソリューションを持つ企業としてアシックスを見つけた。互いに提供できる価値が合致したことで、共創パートナーとして組むことになったのだ。

仕掛け人でミヤックス代表取締役社長の髙橋蔵人氏は、「働き手が減っている時代に、既存のサプライチェーンの枠組みを越え、社会や経済を良くするために何ができるかを“価値”として共に考えることが必要だ。解像度を上げることで何をすべきかがわかると、より良い共創パートナーと組むことができる」と話す。

 

価値創造への挑戦

公園の遊具は公共事業であり、行政の予算によって売上は影響を受けてしまう。契約数を増やせば売上も上がるが、その分メンテナンスの人員が必要になる。一方、遊具に付加価値をつけることで単価を上げられれば、契約数を増やさなくても売上は確保できる。

シンプルな計算式「単価×数量=Y」を最大化するにはどうすれば良いのか、髙橋社長は単価を上げるという敢えて難しい挑戦に取り組む。実験結果をもとに、将来はメンテナンスだけでなく、子どもの創造性を育むような付加価値の実現を目指している。実証実験はその第一歩に過ぎない。

 

データ利活用×共創

人口減少が進み、市場規模の限界が見えている今、異業種が既存のサプライチェーンの枠組みを越えて、データを利活用する新たな枠組みが求められている。本業の中でいかにデータを取り、それを生かしてどうビジネスに繋げるか――共通のマインドを持つ企業同士が共創パートナーとなり、一緒にチームとして行動することで、この課題の突破口を見出したのだ。

そして、経営者が企業の将来像をどう描くかによって、突破口は変わってくると髙橋社長は言う。決して焦る必要はなく、事業を少しでも上向きにしたいのか、それとも横ばいで良いのかをまずは明確に描くこと。次に、自社の強みを正しく理解することが、イノベーションを起こし、突破口を見出すために取り組むべき下準備なのだ。

 

株式会社ミヤックス 代表取締役社長 髙橋 蔵人 氏

 

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