『CONNECT+』Vol.12:地域企業の突破口
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掲載日:2025年3月24日

地域企業の突破口
~共創からはじまるInnovation~
「共創」は企業にどんな変革をもたらすのでしょうか。
地域企業が成長し続けるためには、異なる企業や産業の枠を越えて「共創」し、新しい価値を創出することが求められます。
「地域企業の突破口」では、東北の企業や自治体の先端共創事例を特集していきます。
CASE12 共創思考は地域経営者の武器である
社会課題をビジネスに変革
古紙の回収業から始まったSKグループは、新規事業を次々と立ち上げています。10万ユーザー超えのアプリ、日本一を誇る古紙回収システム、仙台「四方よし」企業大賞など、地域の回収業者として異例の取り組みを続けています。さらには、転職が一般的となった昨今において、対話を通じた社内改革の実施により離職率3.9%という驚異的な数字を実現し、廃棄物回収業の常識を覆しています。今回は、そんなSKグループの共創思考を探ります。
SKグループの4事業社
日本一の成功へ
すべては危機から始まりました。資源回収の激減により売上が低迷する中、クライアントであるスーパーの集客課題と結びつけた挑戦がスタートしました。
一般家庭から出る段ボールや雑誌古紙の行き場がなくなったことを逆手に取り、スーパー店頭に回収コンテナ「リサイクルステーション」を設置。不要な紙資源を持ち込むと重量に応じたポイントが付与され、それをスーパーでの買い物に利用できる仕組みを作り上げました。「ごみを捨てるついでに買い物をする」という新たな行動習慣が生まれ、このシステムは全国420店舗にまで広がっています。
このシステムに付加価値をつけ、利用を加速させたのが専用アプリ「ぐるっとポン」。アプリ内で獲得できるコインは、電子マネーへの交換や災害への寄付に使用できます。現在のユーザー数は10万人を超え、地元スポーツチームとコラボした広告媒体としての活用など、さらなるビジネス展開の基盤となっています。これにより、日本一の回収量を誇るステーション型システムへと進化を遂げました。この成功について齋藤代表は、「社会課題を解決しながらクライアントのニーズを満たしている」と語ります。
スーパー店頭に設置されたリサイクルステーション
共創ボタン
SKグループのビジョンは、ホームページの一つの仕掛けにも表れています。サイトを訪れると目に入るのが、「仲間になる」というボタン。これを押して「共創パートナー」へ進むと、「本音で語り合い本気で行動するからこそ見えてくる未来があります」とのメッセージが記されています。
各エリアの地元業者と連携することで全国展開を実現している同グループは、営業所を持っていません。同業者との協力は簡単ではありませんが、丁寧に説明を重ね、双方にメリットがあるビジネスモデルであることを理解してもらうことで、全国に強固なパートナーシップを築いてきました。
競争ではなく「共創」の精神で業界を革新し続けるSKグループ。そのビジネスモデルは、拠点を持たずして全国展開を可能にする、まさに新しい時代の形を示しています。
Pocci!で挑戦中
2022年にはリサイクル事業を通じた地域支援事業「Pocci!(ポッチ)」の展開を開始。企業がリサイクルした資源の価値をポイント化し、地域の子ども食堂やスポーツ団体など、子どもたちの活動に寄付できる仕組みを構築しました。
この取り組みにより、地域団体が支援を受けられるようになり、地域が地域を支えるエコシステムが生まれつつあります。齋藤代表は「地域を巻き込んだ価値創造の一歩として、この活動を成長させていきたい」と語ります。まだビジネスとしての課題は残るものの、多くの企業や団体から支持を集めており、今後の展開が期待されています。
インターン生が作る「Pocci!」地域団体への取材記事
“本気の雑談”
SKグループの快進撃を支えるもう一つの要素は、社員との関係性です。一般的に離職率が高いとされる廃棄物業界ですが、回収業務を担う事業会社である株式会社サイコーの離職率はわずか3.9%。グループ全体でも高い社員定着率を実現しています。その背景には、社員との対話を重視する文化がありました。
齋藤代表が提唱するのは「本気の雑談」というもの。仕事の話にとどまらず、社員一人ひとりの価値観や悩みを共有し合える仕組みを構築することで、心理的安全性の高い職場環境を整えています。この取り組みにより、社員同士の信頼関係が深まり、会社全体の生産性向上にも寄与しています。
さらには、新規事業を立ち上げる際にも、社員の協力を得やすいという大きなメリットがあります。心理的安全性の確保には長い年月がかかりましたが、同グループでは全社員との1on1面談を実施するなど、本気で向き合う姿勢を貫いています。
社員の交流が生まれる開放感あるオフィス
未来を見据えた“地域課題解決型ビジネス”
2023年には新規事業チームを立ち上げ、2028年までに3〜5つの地域課題解決型ビジネスを創出する計画を掲げるSKグループ。リサイクル業務にとどまらない「地域と共に成長するビジネスモデル」を体現しています。「利益を追求するだけでなく、地域にとって本当に必要な事業を展開していきたい」と語る齋藤代表の姿勢は、地域社会との強い信頼関係を築き、さらなる成長の原動力となるでしょう。
人口減少が進む中、企業の成長には地域との共創が欠かせません。SKグループの事例は、社会課題をビジネスに転換し、企業価値を高める新たなヒントを提供しています。
左から、トークネット 太田・國井、SKグループ 齋藤代表、トークネット 赤城
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