『CONNECT+』Vol.3:地域企業の突破口

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掲載日:2024年3月25日

地域企業の突破口
~共創からはじまるInnovation~

「共創」は企業にどんな変革をもたらすのでしょうか。

地域企業が成長し続けるためには、異なる企業や産業の枠を越えて「共創」し、新しい価値を創出することが求められます。

「地域企業の突破口」では、東北の企業の先端共創事例を特集していきます。

 

市民に愛される 共創が生まれる場づくり
「CASE03 山形市の共創プラットフォームQ1」

古くて新しいランドマーク

2022年9月1日にオープンした共創プラットフォーム「やまがたクリエイティブシティセンターQ1(キューイチ)」。山形市民にとって学びの記憶であり、シンボルでもあった「山形市立第一小学校旧校舎(旧一小)」をフルリノベーションした施設です。「Q1」には旧一小の呼び名と、“問いのはじまり”という意味が込められています。

1927年に建てられた旧一小は、山形県初の鉄筋コンクリート造の学校建築でした。構造・デザイン共に当時の日本の最先端で、小学校としての役割を終えてからも、歴史的価値から2001年に国登録有形文化財に登録されています。

そこに、食やファッション、雑貨等およそ20のショップやオフィス等が入居し、多くの市民が集っています。山形市が市中心部で調査した2023年の歩行者通行量は、現行の方式で記録を取り始めてから最多となり、Q1の存在が一役買っていると見られています。

 

 

オープンまでのプロセスを重視

2010年から2021年までは、全館の耐震補強工事を経て、観光交流施設として市民に利用されていましたが、2~3階は壁や天井が剥がされたまま立ち入り禁止となっていました。山形市は、「ユネスコ創造都市ネットワーク」へ2017年に加盟したのをきっかけに、「創造都市やまがた」を推進。その拠点として、Q1は整備されることとなりました。

整備にあたって大切にしたのは、拠点の姿を描き出すプロセスです。2年間の社会実験を行い、テナント運営のトライアルやイベント等を開催。有識者や市民を交えて、「やまがたの創造性とは?その拠点はどうあるべきか?」という問いと対話を重ねました。その結果、Q1は“クリエイティブと産業を暮らしでつなぐ拠点“という位置づけが明確となりました。

運営会社の役員は、地元の大学関係者やクリエイター等で構成。テナントリーシングは、施設の位置づけがぶれないよう審査を経て行われました。

 

 

共創が生まれやすい場を整える

オープンから約1年半、地元のクリエイターを交えた商品開発や、テナント同士の協業も生まれ、共創プラットフォームとしての形が見えてきています。市民からの認識も定着し、期待値は当初よりも高まっています。「新しいものを発信し続けなければならない」というプレッシャーを感じながら、走り続けてきました。

一方で、ローカルにおける共創では、スピード感を求めないという側面もあります。例えば、地元商店街との関係性では、互いに手探りながらも清掃活動等で徐々に距離を縮め、商店街の一員として受け入れられるようになりました。決して自分たちの思いだけで走らずに、周りに求められたとき応じられるよう構えておくことが、共創が生まれやすい場づくりのために大切なのです。

テナントの誘致活動においても、意識的にテナント同士を繋げようとはしてきませんでした。場を整えておくことで、自然に共創が生まれる状態を理想と考えているからです。「一緒に事業をやってもらえますか?」と声をかけ、思いを共有できるプレイヤーのみがテナントとして入居。Q1の特長であり、市民に支持される理由の1つでもあります。

 

 

地域の発信拠点へ

山形市は、独自の映画文化や伝統的な郷土料理、伝統工芸といった多彩な地域資産に恵まれています。それらの価値を認め、創造都市やまがたという共通認識があるからこそ、市民・民間企業・行政が連携し、創造性を産業や暮らしに繋げていく持続可能なまちづくりを目指すことができたのです。

地域の特長を捉え、共創のパートナーとして誰を巻き込みたいのか精査し、丁寧なプロセスを経て目的を言語化し、ぶれずに活動を継続していくこと。簡単ではありませんが、どれか1つ欠けても、Q1のような共創事例は生まれなかったかもしれません。

Q1で新たな出会いやビジネスが生まれ、そこから産業の発展や人材の創出が図られていく、そんな“山形ブランド”の発信拠点を目指してQ1は今日も問い続け、走り続けます。

 

※ユネスコ創造都市ネットワークとは?
経済的、社会的、文化的、環境的側面において、創造性を持続可能な開発の戦略的要素として認識している都市間の協力を強化することを目的とし、2004年に創設された国際的ネットワーク。世界350都市が加盟(2023年11月現在)。文学・映画・音楽・クラフト&フォークアート・デザイン・メディアアート・食文化の7分野あり、山形市は日本で初めて映画分野で加盟認定された。東北・新潟エリアでは、他に鶴岡市が食文化で加盟している。
(参照:文部科学省 https://www.mext.go.jp/unesco/006/1357231.htm

写真提供:株式会社Q1

 

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