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『CONNECT+』Vol.17:地域企業の突破口

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掲載日:2025年11月28日

地域企業の突破口
~共創からはじまるInnovation~

「共創」は企業にどんな変革をもたらすのでしょうか。

地域企業が成長し続けるためには、異なる企業や産業の枠を越えて「共創」し、新しい価値を創出することが求められます。

「地域企業の突破口」では、東北の企業や自治体の先端共創事例を特集していきます。

 

CASE17  データで伸ばす、地域の稼ぐ力

DMOで、街は動く

「戦国」をテーマに、8,000発の花火、500台のドローンショー、戦国を彩った武将たちによる演舞を組み合わせた、全国に類を見ない、「よねざわ戦国花火大会」。初回開催ながら来場者は1万人を超えた。プラットヨネザワ株式会社は、その独特な世界観をもつイベントのブランディングやPRを担う。

2025年初頭、観光庁より「登録DMO」に正式認定され、副業人材である役員4名を含む全社員5名で、3年の間に「45事業・9億円超」を創出する彼ら。活動は国内に留まらず、台湾・シンガポール等での観光PRや、同社が企画運営を行うイベント「360°よねざわオープンファクトリー」のPOP-UPをパリで行うなど、海外発信・販路テストにも取り組む。

観光収益を地域に循環させ自走させる観光地経営の司令塔、地域DMO

一般的にうまくいかないといわれるその業態で、成果を上げる彼らの成功の秘訣に迫る。

  

フランス/パリで行った「360°よねざわオープンファクトリー」のPOP-UP

 

危機感が合意を越える

プラットヨネザワ株式会社は、観光DXを軸にデータを活用して地域の観光・産業・まちづくりを再設計する。車両・宿泊・人流などのデータを分析し、回遊や消費の傾向を可視化。その結果をもとに、イベント・体験造成・宿泊改修・海外PRなどを組み合わせ、「観光を稼ぐ仕組みに変える」実装型DMOとして地域経済の自走化を支えている。

地方の若者の挑戦を止めてきた重鎮による通行許可制。宮嶌代表が市役所にDMO構想を持ち込んだ時、世界を騒がせたコロナウイルスの影響がここ米沢にもあった。観光の先行きが霞むなか、地域の重鎮たちもその行方に強い不安を抱えていた。彼は横文字の説明を排し、「託してください。私は皆さんのお孫さんや息子さん世代へ託します」とだけ伝えたという。 結果、若手のネットワークが重鎮の息子世代と自然に重なり、共通善で動く回路が形成された。「合意形成に3年かける」地方DMOあるあるを、当事者の危機感がショートカットしたのである。この「任せる」という委譲の瞬間が、のちの広域連携や事業加速の起点になった。

「今、変わらなければ」という切迫が、最も保守的な現場をも前進させる。危機感の共有は、地域共創の最短の着火法なのかもしれない。

 

2023年第一回360°よねざわオープンファクトリーオープニングセレモニーで挨拶をする宮嶌代表

 

DMOが成功する3か条

そうしてスタートしたDMO。同社はDMOの一般的な型をあえて外した

第一に「法人形態」。一般社団法人や公益社団法人など様々な選択肢がある中、資金調達のしやすさなど、企業の柔軟性を重視し、株式会社を選択。

第二に「出資のあり方」。クイックに回すというDMOの強みを最大限に発揮するため、創業役員4人で議決権の90%以上を保有し意思決定を俊敏に。

第三に「人」。目的機能能力の順で役割を定義し、機能を満たすスキルを持つ人材をアサイン。外郭団体や出向中心の編成は創業段階では非力と判断し、推進力のある人材に全振りした。

創業前、全国のDMO、特に東北のDMO20ヶ所以上回りながら宮嶌代表が自ら見出した要素だという。なぜ同業はうまくいかないのか ——その因果を解き明かすことが、成果への最短ルートを描き出す。

 

第一回よねざわ戦国花火の会議の様子

 

データが地域を稼がせる

 鍵は「客観性と再現性」。

大河ドラマの舞台として名を馳せてきた米沢。その観光の追い風を、幼少期から成長期まで全身で浴びてきたのが、宮嶌代表の世代だ。しかしそんな追い風も、時代の変化・トレンドの変化と共に風向きを変える。過去の栄光にとらわれずその変化を受け入れ、「どの時期に、どんな顧客が、何を求めて来ているか」をデータで可視化する重要性を宮嶌代表は語る。

海外、ITの文脈をもつ宮嶌代表をはじめ、フィンテック、ファイナンス、クリエイティブの文脈をもつメンバーで手を上げ、DXとインバウンドを誰もやっていない領域として戦略選択。分散する外部データを統合戦略戦術実行振り返りのループへ落とし込んでいる。

データは正しさではなく意思決定の再現性を高める道具 。その態度が地域の稼ぐ力を押し上げている。

 

共同開催した山形新幹線E8系「つばさ」運行開始 1 周年記念イベント「プラレールよねざわえき in 米沢駅」

 

米沢はポテンシャルでできている

「地方は何もないのではない。むしろユニークになれる余白が大きい。東京では独自性が埋没する仕事も、米沢では自ら手を動かし、端から端まで担うことでユニークが輪郭を持つ。」と宮嶌代表は帰郷の動機を語る。

物も食も自然も、静かに質がいい。——だから米沢の観光は、磨けば光る。ポテンシャルはすでに手元にある。米沢だけに留まらず置賜、山形、東北へと回遊の文脈を広げ、人と事業の関係性を地域というキーワードで再編する。ここで同社の姿勢を示す言い換えが効いている。いきなりスクラップ&ビルドではなく、オーバーホール&リデザイン。すでにある資源をいったんほどき、何を残し何を組み替えるかを地域の人たちと設計し直す。足りない機能は、彼らか他のプレイヤーが補う——壊すより磨き直す発想だ。

ここに居るからこそ広がるポテンシャル。個の人生を輝かせることと、地域を面白くすることを、同じ線上で捉える——その態度が、地域事業を持続可能にしていくのかもしれない。

  

(写真左から)トークネット中畑、プラットヨネザワ 宮嶌代表、トークネット菅原、トークネット太田

  

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