『CONNECT+』Vol.11:地域企業の突破口

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掲載日:2025年2月12日

地域企業の突破口
~共創からはじまるInnovation~

「共創」は企業にどんな変革をもたらすのでしょうか。

地域企業が成長し続けるためには、異なる企業や産業の枠を越えて「共創」し、新しい価値を創出することが求められます。

「地域企業の突破口」では、東北の企業や自治体の先端共創事例を特集していきます。

 

在庫管理から広がる無限の共創パートナー
CASE11 ダウンロード数1位の米沢発アプリ

競合ひしめくスマホアプリ市場において累計17万ものユーザーを獲得し、継続率90%以上と圧倒的な支持を集める企業が山形県にあります。「株式会社ZAICO(ザイコ)」は、煩わしい在庫管理をスマホアプリで誰でも簡単にできるようにしました。

Google PlayとApp Storeの在庫管理アプリの分野で、ダウンロード数1位を何度も獲得。製造、小売、卸、医療と様々な業種で利用されています。ユーザーからは「欠品や過剰在庫がなくなった」「棚卸にかかる時間が大幅に減った」「生産性が向上した」など、嬉しい声が寄せられているといいます。

2024年には、アーキタイプベンチャーズ株式会社を引受先とした第三者割当増資により、3億円の資金調達にも成功。クラウド在庫管理システム「zaico」の改良や、ユーザーの要望に応える新規機能の開発をより強化しようとしています。

 

クラウド在庫管理システム「zaico」のイメージ

 

経営難の倉庫会社が開発のヒントに

アプリの最大の強みは、操作が簡単なこと。バーコードなどの読み取り機能や画像認識技術が組み込まれていて、直感的かつシンプルな操作性から、幅広い年代に利用されています。

代表取締役の田村壽英社長の実家は、山形県米沢市で小さな倉庫会社を経営しています。田村社長は、アプリの開発当時は東京で働くITエンジニアでした。しかし、実家が2億円の負債を抱えていることを知り、経営を立て直そうとまず取り組んだのが、倉庫会社の環境改善でした。

1人のベテラン社員の頭の中にあった在庫管理を、市販のソフトウェアやエクセルで管理しようとしたところ、従業員から「難しい」「面倒くさい」と反対の声が上がります。そこで、どの従業員でも難しい・面倒だと感じない業務に…と考えた結果、「zaico」の原型が誕生しました。経営難の倉庫会社から、「簡単さは価値」という開発のヒントが得られたのです。

 

営業ツールのアプリのつもりが起業

起業のきっかけとなったのも、実家の倉庫会社でした。「zaico」の原型の在庫管理システムを、一般に無料で提供。ユーザーにメールアドレスや電話番号を登録してもらい、そこに営業をかけることで、倉庫会社の顧客の新規開拓に繋げようと考えたのです。

狙いは的中し、ユーザーからは想像以上の反応がありました。それまで米沢市周辺に限られていた顧客が、全国から集まるようになったのです。スマホアプリで在庫管理ができる便利さに加えて、首都圏と比べて倉庫の保管料金が安く済むことも魅力的でした。

スマホアプリが多くのユーザーを獲得していく中で、田村社長は一部の機能の有料化に踏み切ります。ITエンジニアとして働きながら、通勤時間や休日に在庫管理システムの運用を続けるうちに、システムの収益は“1人ならギリギリ食べていける”ところまで成長しました。「売れるソフトウェアはなかなか生み出せない。せっかくニーズがあるのだから、やってみよう」。2016年10月、ZAICOを設立。実家のためにスマホアプリを開発してから、約3年後のことでした。

 

創業の地 田村倉庫(ご実家の倉庫会社) 左:田村社長、右:田村社長のお父様

 

通勤不要で優秀な人材が集まる

設立当時から社屋を持たず、場所に縛られない働き方ができるため、北海道から九州まで、海外からも優秀な人材がフルリモートで参画しています。普段はリモートワークですが、対面できる機会も大切にしているといいます。

半期に一度、全エンジニアが顔を合わせるハッカソンを開催。熱海のロッジなどを貸し切り、3日間にわたり議論や雑談を交わすのです。そこではアイデアがポンポン飛び出します。各地から集まるため交通費はかかりますが、アイデアの多くがユーザーへ提供する新たな価値に繋がるため、費用対効果の高い社内イベントだといいます。

年に一度、全ての社員が集まるBIGMTGでは「お互いを知る、お客様を知る、会社を知る」などの⽬的を持ち、課題に取り組みます。朝から晩まで徹底的に考え・喋るプログラムにより、直接会うことの無いメンバー同⼠の絆を深められるといいます。

 

オンラインの全社定例会の様子

 

モノの情報管理×○○の共創事例を

人手不足が深刻化する今、在庫管理といった“やらざるを得ない業務”の省力化・自動化がまさに求められています。例えば、これまで在庫管理を担当していた人が退職してしまったとしても、人手不足で新たな人材を配置できるとは限りません。製品に限らず、何かモノを管理する必要があるときに、人がいなくても業務を回すことができれば、ビジネスの可能性が広がります。

 

クラウド在庫管理システム「zaico」ユーザー様が利用している様子

 

ZAICOでは、モノの増減を自動計測できるIoT重量計を実用化。田村社長は「在庫管理でこんなこともできるという事例を共創し、それを異分野にも展開したい」と語ります。将来的には、在庫管理のデータを生かし、どこに・何が・どれだけあるのかといった情報を提供することで、新たな価値を生み出したいといいます。課題を突破するカギは、モノの情報管理にあるのかもしれません。

 

取材時の様子(左:トークネット 赤城 中央:ZAICO 田村社長 右:雑談会議 稲垣)

 

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